子どもの権利に関する法律

子どもの権利に関係する代表的な法律・宣言には、
日本国憲法、児童福祉法、児童憲章があります。

 

(1) 日本国憲法

 

「国民主権」、「平和主義(戦争放棄)」、
「基本的人権の尊重」を三本柱としている日本国憲法は、
1946年、昭和21年に制定されています。

 

日本国憲法は、子どもの権利を考えるときに、
何よりもまず確認しなければならないものです。

 

・憲法第25条

 

 @ すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

 

  健康で文化的な最低限度の生活を営むのは、
 国民の権利である事を謳っています(生存権(人間らしく生きる権利))。

 

 A 国は、全ての生活部面について、社会福祉、社会保障及び
  公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 

  人間らしく生きる権利を保障するために、国は国民に対して責任を持ち、
 生活に深く関わる社会福祉や社会保障、
 公衆衛生の向上に努める義務があることを謳っています。

 

・ 憲法第13条

 

 「全て国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する
 国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、
 立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」

 

この憲法第13条は、憲法第25条の「国は人間らしく生きる権利を保障することに対して、
全体的な国家ではなく、国民一人ひとりにおいては個人として「幸福追求権」をもっていて、
且つ尊重されるということが謳われています。

 

このように、日本国憲法第25条と日本国憲法第13条では、
「国民は人間らしく、そして自分らしく生きる権利を有する。」
ということが明確に謳われています。

 

そして、これは大人と子どもの区別なく、
全ての国民に関係していて、
社会福祉を考える際の基本的な権利とされています。

 

(2) 児童福祉法

 

児童福祉法は、1947年、昭和22年に制定されています。

 

この法律が制定される前、つまり戦前は、
天皇制国家おける「健兵健民」の育成思想による
児童や育成がされていました。

 

ですが、戦後の平和憲法では、
児童の健全育成や福祉の増進である「児童福祉」の理念が前に立ち、
子供達が健やかに育成されると位置づけられました。

 

・ 児童福祉法第1条 児童福祉の理念

 

 @ すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、
  且つ、育成されるよう努めなければならない。

 

  「心身ともに健やかに育成される権利」が、明確に謳われています。

 

 A すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、
  愛護されなけばならない。

 

  「生活を保障され、愛護される権利」が、明確に謳われています。

 

 児童福祉法第一条の@もAも、大切な児童福祉の理念となっています。

 

 第2条では、国、及び地方公共団体は児童育成の責任を負う事を明示しています。

 

 第3条では、第1条の「心身ともに健やかに育成され、生活を保障され、
愛護される児童の権利」と、第2条の「公的責任の明示」の2つを
児童福祉の原理とし、尊重されなければならないという内容が歌われています。

 

(3) 児童憲章

 

児童憲章は、1951年、昭和26年に宣言されましたが、
中央児童福祉審議会で1949年、昭和24年に制定する案が出され、
児童憲章制定準備委員会が設立され、
1951年、昭和26年には55名で構成された児童憲章草案準備会によって草案が練られました。

 

この草案を内閣総理大臣が国民各層から選ばれた協議員からなる児童憲章制定会議に提出し、
その決議を経て、その日のうちに宣言されています。

 

・児童憲章

 

 われわれは、日本国憲法の精神に従い、児童に対する観念を確立し、
全ての児童の幸福をはかるために、この憲章を定める。

 

 児童は、人として尊ばれる。

 

 児童は、社会の一員として重んぜられる。

 

 児童は、よい環境の中で育てられる。

 

 1 すべての児童は、心身ともに、健やかにうまれ、育てられ、その生活を保障される。

 

 2 すべての児童は、家庭で、正しい愛情と認識と技術をもって育てられ、
  家庭に恵まれない児童には、これにかわる環境が与えられる。

 

 3 すべての児童は、適当な栄養と住居と被服が与えられ、
  また、疾病と災害からまもられる。

 

 4 すべての児童は、個性と能力に応じて教育され、
  社会の一員としての責任を自主的に果すように、みちびかれる。

 

 5 すべての児童は、自然を愛し、科学と芸術を尊ぶように、
  みちびかれ、また道徳的心情がつちかわれる。

 

 6 すべての児童は、就学のみちを確保され、また、
  十分に整った教育の施設を用意される。

 

 7 すべての児童は、職業指導を受ける機会が与えられる。

 

 8 すべての児童は、その労働において、心身の発育が阻害されず、
  教育を受ける機会が失われず、また児童としての生活が妨げられないように、
  十分に保護される。

 

 9 すべての児童は、よい遊び場と文化財を用意され、悪い環境からまもられる。

 

 10 すべての児童は、虐待、酷使、放任その他不当な取扱からまもられる。
    あやまちをおかした児童は、適切に保護指導される。

 

 11 すべての児童は、身体が不自由な場合、または精神の機能が不十分な場合に、
   適切な治療と教育と保護が与えられる。

 

 12 すべての児童は、愛とまことによって結ばれ、よい国民として
   人類の平和と文化に貢献するように、みちびかれる。 

 

このように児童憲章は、全ての児童の幸福を図るために、
児童の基本的人権を社会全体が自覚、確認し、
その実現に努力する目的でつくられた12か条の文章となっています。

 

そして、児童憲章は、大人と同じように子どもも人間として尊ばれることを謳っていて、
人間は生まれながらにして尊厳ある存在として位置づけています。

 

児童憲章の本文では、家庭のあり方や児童の保護、
児童に対する社会のあり方や教育を受ける権利、
児童家庭福祉の目的などが挙げられています。

 

この児童憲章は、国連の児童権利宣言(1959年)よりも前に作成されています。

 

すべての児童の幸福を図り、その実現に努力することが最終目標となっているわが国の児童憲章は、
とても意味深く、世界に誇ることが出来る美しい憲章であるといえるでしょう。